真鍮風の加工で金物製作の幅を広げませんか?

真鍮がもたらす雰囲気

真鍮とは銅に20%以上の亜鉛を混ぜた金属です。金管楽器や水道の蛇口などさまざまなものに使われていますが、もっとも身近なものとして5円玉が挙げられます。
真鍮は黄銅とも呼ばれ、その名前のように銅に比べて黄色の成分が強い色となっています。
 
融点が低く柔らかいためインテリアにも使用されることが多い真鍮。銅を含むためやさしい光沢があり、ステンレスやアルミニウムとは異なる真鍮ならではの独特の温かみがあります。
 
しかし、このような状態はいつまでも続きません。空気中の水分や塩分と反応して緑青(ろくしょう)と呼ばれる錆が発生したり、空気と触れることでくすんだり黒ずんだりと経年による変化は避けられません。

 

真鍮製金物における課題

加工表現が限られる

真鍮には次のような特徴があります。

  • 展延性や切削加工性が高い
  • 電気導電性が高く溶接しづらい
  • レーザーを吸収するため溶接しづらい

真鍮は非常に扱いやすい素材ですが、溶接のハードルは非常に高いものです。例えば、母材を重ねて電流を流す「抵抗溶接」をしようとしても、高い電気導電性のため抵抗熱が発生しづらいのです。もちろん、流す電流値を上げれば溶接可能ですが、増加する電気使用量によりコストがかかります。

細かい部分を溶接するときにはレーザー溶接が用いられることもあります。レーザー溶接は、照射されたレーザーを吸収してその熱を利用して溶接しますが、真鍮はレーザー光を反射してしまうためレーザー溶接には向きません。
 
また、真鍮を溶接するときには次のような問題も発生します。

  • 酸化被膜による溶接不良
  • 固相温度と液相温度の差による溶接割れ
  • 亜鉛の燃焼によるブローホール

真鍮は鉄やアルミニウムと比べると酸化しづらいものの、空気中の酸素と結びついて表面に酸化被膜(黒ずみ)を形成します。この状態で溶接すると、溶接不良を起こしやすくなるのです。

 

真鍮は銅と亜鉛の合金であるため、金属が溶けはじめる固相温度と金属が完全に溶ける液相温度に差があります。両者の差が大きくなるほど、冷却する過程で割れを発生しやすくなるのです(融点は800℃程度)

 

溶接時には燃焼した亜鉛により吹き上がりが発生します。このとき、ブローホールと呼ばれる空洞が発生し、強度面に影響が出ます。
 

他の素材に比べて高い

真鍮は他の素材に比べると、重量当たりの単価が高い傾向にあります。例えば、2024年7月初旬現在、スクラップ価格は次のようになっています。

29〜46円/kg程度
アルミニウム 80〜290円/kg程度
ステンレス 43〜470円/kg程度
333〜1,421円/kg程度
真鍮 593〜1,113円/kg程度

真鍮はアルミニウムやステンレスに比べると2倍以上の金額になっており、非常に高価であることが分かります。しかも、近年はさまざまな要因により真鍮の価格がさらに高騰しています。

真鍮の価格高騰の理由としてまず挙げられるのが、銅の価格高騰です。真鍮は亜鉛と銅の合金のため、銅の価格が高騰するとその影響を受けます。銅は流通在庫の不足により価格が高騰しているのです。また、真鍮は水道の蛇口の原料として使用されるため、新築の家屋やマンションが建つと必要になります。マンション需要が増えたことにより流通在庫が減り、原油価格高騰による輸送コスト増の影響も受けて、真鍮の価格が高騰しています。

 

防塵のための処理が必要

前述のように真鍮は酸化する材料であり、黒ずみや緑青が発生します。そのため、酸化する前の状態を保ちたい場合は、次のような防錆の対策が必要になります。

  • 気化性防錆剤
  • 水溶性防錆剤

 

気化性防錆剤は常温で帰化して錆の発生をおさえるものです。密閉可能な容器などに真鍮製品と気化性防錆剤を入れて保存することで錆を防止できます。しかし、気化性防錆剤で錆を防ぐには、その性質上密閉しないといけません。そのため、容器に入るサイズの真鍮製品しか対応できないのが懸念点です。また、密閉させておく必要があるためその間は使用できません。ただし、防錆油を使用しないためクリーンな環境を保て、塗布や洗浄の手間がいらない特長もあります。
 
水溶性防錆剤は真鍮製品に塗布して使用する液体の防錆剤です。塗布後に乾燥させればイオン結合分子により真鍮製品の酸化を防いで効果を発揮します。防錆油と異なりベタつくことがなく、拭き取りの必要もありません。また、塗布する手間があるものの密閉する必要はなく、使用しながらの防錆対策が可能です。防錆しながらも使用したいもの、あるいは密閉できないほど大きなものの場合は水溶性防錆剤の方が使いやすいかもしれません。

ただし、防錆剤使用時には人体への影響に気を付けましょう。マスクや手袋をしたうえで作業し、気化性防錆剤を噴射する場合は換気された空間で行いましょう。
 

経年劣化による見栄えの変化

真鍮製品は使用するなかでどうしても経年劣化します。それを「味」と感じるか「劣化」と感じるかは人それぞれですが、いずれにしても当初の状態をキープするのは難しいものです。そこで、表面が酸化してきた場合に一定程度見た目を回復させる方法があります。

  • 重曹
  • 金属研磨剤
  • 真鍮クロス
  • 工業用錆取りパッド

 

真鍮製品を酢に浸けると酸化被膜が取れて、元通りに近い見た目になります。酢に浸けている時間に応じて回復度合いが変わりますが、あまり長く浸けていると赤みがかった色になってしまいます。そのため、途中で色合いを確認しながら作業するようにしましょう。作業後は水洗いして酢を落とし、しっかり拭くことが大切です。

 

重曹を使う方法では、重曹と水を2:1の割合で混ぜてペースト状にします。これを真鍮製品に塗って布や指でこすることで表面の酸化被膜を落とします。作業後は酢と同様に水洗いした後、水分を拭き取りましょう。ただし、強くこすりすぎると表面を傷つけること、そして重曹が残っていると変色の原因になることに注意が必要です。酢に浸ける方法では、アンティーク感のない新品に近いような光沢になります。アンティーク感を残したい方は、重曹を使うほうが良いでしょう。

 

ホームセンターなどで市販されている金属研磨剤を使用しても光沢を取り戻すことが可能です。チューブに入った金属研磨剤を布につけ、真鍮製品を磨くときれいになります。真鍮クロスを使用しても同様に光沢を取り戻せます。ただし、金属研磨剤の方が効果を期待できるため、くすみや汚れが強い場合は金属研磨剤を使用しましょう。

 

工業用錆取りパッドを使用する方法も有効です。ただし、こちらは磨くというより表面を擦ることになり、最終的にヘアラインのような模様(細かい傷)がつきます。風合いが変わったように感じる方もいるため、工業用錆取りパッドを使用する場合は事前にサンプル品を用いてテストすることをおすすめします。
 

真鍮風加工のご提案

このような真鍮製金物における課題をクリアするのに効果的なのが、「真鍮風塗装」です。
ハーベストではSUS板に真鍮のような塗装を施すことによって、真鍮風な仕上がりを実現することが可能です。

 

真鍮風塗装のメリット

✔️ 真鍮板加工よりも低コスト
✔️ 真鍮では難しい表現(形状)も可能
✔️ 好みの風合いを維持
✔️ 艶感、マット 色味など 指定可能
 

活用シーン

店舗什器

真鍮は金属でありながら独特の温かみがあります。ステンレスやアルミニウムを基調とするとシンプルになりすぎると感じる場合には、真鍮風塗装を施した什器を使用すると良いでしょう。真鍮風塗装の中には、はじめからアンティーク感を表現できるものもあります。店舗空間の雰囲気やコンセプトに応じて選びましょう。
 

各種サイン

空港や鉄道の駅、それに公共施設にあるサインは比較的シンプルなものが多い印象です。しかし、そのような場所でピンポイントで真鍮風塗装を施すと良いアクセントになるでしょう。特に目に留めてもらいたいサインのみ真鍮風塗装をするなど、上手に使うと良いでしょう。
 

モニュメント

レトロな空間においてモニュメントはその雰囲気を強めてくれるアイテムです。真鍮製のモニュメントでは劣化をコントロールしづらいこと、そして大きさによっては材料費が嵩むと懸念されます。しかし、真鍮風塗装ならはじめからアンティーク感を出せるだけでなく、材料費もおさえられます。
 

金物製作はハーベストへご相談ください

ハーベストではラグジュアリーな雰囲気の空間に使用いただくような、高級感のある仕上がりの金物製作を得意としております。
金属だけでなく、異素材を組み合わせたご提案・製造も可能です。
 
「こういったものが作りたい」などのご要望をお気軽にお聞かせください。
3Dモデルによるすり合わせにより、製品構想、設計開発段階から一貫でサポートいたします。

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